日曜日, 5月 1

農学・水産学系学生のための数理科学入門

5月1日(日)まで、この記事がトップに固定されます。
その間は、この記事以下から随時ブログ更新してまいります。


教科書を執筆しました。数理(数学・物理・統計)が苦手な水産・農学系の学生さんはどうぞ。

『農学・水産学系学生のための数理科学入門』
日本水産学会 水産教育推進委員会 編
河邊 玲・北門利英・黒倉 寿・酒井久治・阪倉良孝・高木 力 著

高校から大学教育へのギャップを埋め、かつ専門教育に進む際に絶対的な基礎になる事柄を中心に平易に解説。水産学部生必修の内容。
[主な内容]序章 数学・物理学を学ぶ前に(黒倉 寿) 1章 数学(北門利英)2章 統計学(阪倉良孝)3章 力学の基礎(河邊 玲・高木 力)4章 電磁気学(酒井久治)

4月8日出版。
定価2,520円(本体2,400円)
(出版社:恒星社厚生閣)

えっ、あいつが力学なんか執筆しているの?と笑わないで下さい(汗)

私の専門分野は生物学(生態学)にありますので、物理学を正面から扱うだけの知識を持っているわけではありません。しかし、数学や物理に対して恐怖心を抱く、あるいは自分とは縁遠い学問分野と認識する学生達の「気分」は理解できます。なぜなら、私自身が元々そういう学生であったからです。むしろ物理学に造詣の深い専門家以外の視点からの教科書を書くことも必要かと思い、執筆のお誘いを受けた次第です。

水産学を学ぶ学生諸君にとって、数学(統計)や物理はどうもつきあいにくい相手のようです。大学入学までに一度は初歩的な物理学に接する機会はあっても、それを何かに応用することなく(応用するすべを知らないで)過ごしてしまう人がほとんどのようです。水産学・海洋学の研究を進めていくと、これらの研究分野が学際的で複合的な研究領域であることを痛感するはずです。つまり、水産や海洋の現場で生じる自然現象のほとんどが、数学と物理を含んだ解析手法、解釈を駆使して研究を進める必要があり、それを怠ると現象の一つの断面しか捉えることができません。
 近年、学問分野の細分化がますます進んでおり、日々膨張を続けている自らの研究分野についていくこと自体が大変なことであり、ちょっと寄り道をして余分な勉強をしようという余裕もなくなります。こうして数学と物理からますます離れるとともに、縁遠いものになっていくわけです。その結果、水産や海洋の諸現象を説明する数学や物理の言葉を持たないままに、水産学を学ぼうとする人たちが多くなってきたように思います。領域を狭め、専門性を強めるほど、新たな視点、別の観点からの検討が必要となってくることが多いにもかかわらず、数理と早々に訣別し、それで良しとすることは、この新たな視点、別角度からの観点という自分が興味を持つ分野の発展に必須な要素を放棄することになります。

それ、俺(私)のことだ。と感じる学生さんの助けになる教科書となれば幸いです。




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