金曜日, 6月 30

私の研究は動物に記録計(データロガー)を取り付けて、野外での行動を記録して観察するところからはじまります。研究目的(仮説)がなかったとしても、記録計が回収されて、データを見れば、動物がどこにいたか、どんな環境を経験していたか、今ではなにをしていたかまで、わかります(観察できる動物のサイズはロガーの大きさのために大型動物に限られますが)。研究目的のないまま、無作為に動物とフィールドを選んだとして、なにかが記録できます。これは果たして研究なのでしょうか?

しかし、このような研究手法の強みは、他の方法では決して観察できない、例えばヒラメが海洋でどのような移動スタイルをもっているのか、そのような移動スタイルが彼らの体の「つくり」と非常に関連が深いことを明らかにできるわけです。また、ヒラメが野外でどう泳いでいるかなんて、そもそも観察不可能です。こういう記載的な現象すら、魚類の移動メカニズムを明らかにしようとする私が興味を持ってやっている分野では、ほとんど明らかになっていません。

生態学上の重要な仮説を検証するためには、実験に適切な動物を選び、野外調査するならばまた適切な場所を選ぶことが一般的でしょう。しかし、私の研究では、扱いにくく生活史に関する知見が乏しい動物を選び、「海」という野外調査には困難を伴う場所を選んでいることが多いかもしれません。データロガーはその困難に立ち向かうときに私を助けてくれています。

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